新年企画
「品目横断的経営安定対策」とNOSAI

 平成19年度からの農業政策は、新たに諸外国との生産条件格差是正対策として、農家の経営安定対策の視点から「直接支払い制度」を導入することになりました。いわゆる「品目横断的経営安定対策」です。新年特集としてこの「品目横断的経営安定対策」を検証してみます。

1.対象となる「担い手」とは?
 意欲と能力があると市町村が認定した認定農業者や、農用地の利用集積目標等5つの要件を備えた集落営農組織で、経営規模の条件があります。
@認定農業者は4ha以上
A集落営農組織は20ha以上
(条件が不利な中山間地域等には経営規模の特例があり、市町によって下限の面積が定められます。)

2.支援の内容は?
 交付金の種類は2種類です。(集荷円滑化対策に参画することが条件です)
 諸外国との生産条件格差から生じる不利を補正する『生産条件不利補正交付金』」(いわゆる「ゲタ」対策)と、収入の減少の影響を緩和する『収入減少影響緩和交付金』(いわゆる「ナラシ」対策)が『担い手』に対して支払われます。


●「生産条件不利補正交付金」(ゲタ)

 現行の麦作経営安定資金、.大豆交付金、大豆経営安定資金がゲタ対策に移行します。交付金の対象は次の2種類です。

@過去の生産実績に基づく支払い(緑ゲタ)        
大豆・麦それぞれの品目ごとに面積当たりの単価と過去の生産実績を掛け合わせ、その合計が交付額となります。
 ○面積当たりの単価は、それぞれの市町の10a当たりの平年的収穫量を算出し、市町ごとに設定されます。
 ○過去の生産実績は、基準期間(16年〜18年の3年間を固定)の生産量(麦経営安定資金.大豆交付金の交付を受けた平均出荷量)で算定されますので、基準期間の内で出荷量が多ければそれだけ面積が多く換算されることとなり、逆に出荷量が少なければそれだけ面積が少なく換算されることとなります。

 A毎年の生産量.品質に基づく支払い(黄ゲタ)

麦.大豆ごとに、数量当たりの価格(全国一律で設定)と毎年の生産量(加入農家)を掛け合わせ、その合計が交付額となります。
 数量当たりの価格は品質に応じた格差が設定されます。
              例えば麦の場合等級が8段階に分かれ、最高の1等Cランクであれば60kg当たり1,460円で、最低の2等Dランクであれば60kg当たり242円と設定されておりますので、高品質のものを生産しないと受取る交付金に大きな差が出てくることとなります。
 この黄ゲタ部分については、基準期間(16年〜18年の3年間)の作付け実績がなくても、19年度以降作付けをされればその該当年度に加入することができます。


●「収入減少影響緩和対策」(ナラシ)

 農家の経営全体(対象品目)の減収を緩和することを目的とし、対象品目は米・麦大豆で品目ごとの販売収入の合計額が、県単位で設定される標準的収入(過去5年中3年の平均)の差額の9割を補てんします。内容は以下のとおりです。
 @生産者1対国3の割合で拠出金を積立てる。(19年7月に納付)
 A生産者の拠出金は、「県単位で設定される標準的収入額」×生産予定面積×2.25%(10a当たり米で約3,000円です。)で積立金の残額は農家ごとに翌年度に繰り越されます。
 B補てん金額は、対象品目全ての収入増減額を合算し、減収分の9割を支払う。(拠出金の範囲内)受取りは20年7月となります。



NOSAIと経営安定対策の関係

 現在の麦、大豆の価格は民間取引価格+麦作経営安定資金(大豆交付金)が農家の手取り価格となっており、NOSAIの補償金額もこれに近い金額で設定されています。
 今後は、麦作経営安定資金(大豆交付金)部分が、過去の生産実績による支払い相当分(緑ゲタ)と、品質による支払い相当分(黄ゲタ)に分かれます。緑ゲタは収量増減では変動しないので、NOSAIの補償範囲から外れ、その分補償金額が少なくなります。黄ゲタについては、生産量に応じて支払われる部分が収量増減で変動しますので、従来どおりNOSAIの補償の範囲となります。結果として、品目横断的経営安定対策に加入する農家も麦、大豆の補償金額は下がり、未加入者はさらに下がります。
 「担い手」以外の農家では、経営安定を支える制度はNOSAI制度になります。