|
新緑の鮮やかな平成18年5月の芸北・雲月山で、放牧のための電気柵が設置された。「昭和57('82)年頃までは雲月山でも放牧は行われていたが、平成になってからは初めて」と話すのは北広島町で牧場を経営する酒井邦昭さん(46)。この雲月山での放牧は千代田・大朝8つの農家が参加して行うもので、広さ40f、距離にして4qに及ぶ電気柵の設置には、行政担当者やNOSAI西部職員も参加した。
酒井さん自身は放牧を始めて約4年。現在は32頭の肉用牛を放牧しているが、期間は5月上旬〜11月末。放牧する目的は大きく分けて3つあるという。ひとつは「飼料代が抑えられることで低コスト化につながる」。二つめは「広い土地で牛が自由に行動できるため、牛にストレスがあまりかからず、繁殖率の向上につながる」。そして「牛の自由な運動により、削蹄を必要としない」。牛にとっても経営にとってもメリットがある。
畜産経営のほか、人工授精や家畜商など畜産に関わるいろいろな方面で活躍する酒井さんに「忙しい毎日で大変でしょう」と尋ねると、間髪入れずに「そりゃもう大変よ!」という返事。その後、笑顔とともにこんな言葉が返ってきた。「たしかに大変だけど努力すればするほどそれが結果となって表れるところにやりがいを感じる。できそうにないこともなんとかしてやってやろうとも思うし。それにいろいろな分野でいろいろな人と関われることで人間関係が広がっていくことが楽しいのよ。自分にはストレスというものが何なのかはよく分からないが、あるとしても牛を見ていたらいつの間にか消えているよ」
牛に対する想い、そして人と人のつながりを大切にする酒井さんは「花田植等の行事にしても一人の力でできるものではない。みんなが支え合い、助け合うことで成功する行事。これからもみんなで力を合わせていきたい。お金じゃない"何か"がそこにあるから!」と、草を食む放牧牛に目を送る。(山形)
【写真説明】
「放牧で牛も私も元気になります」
 |