高原野菜の青空市で地域活性化(安芸太田町)


県内で唯一、日本の棚田百選に選ばれている山県郡安芸太田町中筒賀井仁地区の『井仁の棚田』。その魅力をさらにアップしようと、地域住民が一体となって始めた青空市は好評を呼び、地域の活性化に一役かっている。
呼びかけ人の小笠原文麿さん(29)は「人さまからお金をもらうようなことをしてもいいだろうか…と戸惑う人が多かった」と振り返る。広島市で営業マンとして活躍していた小笠原さんは、3年前に農家の長男として実家へ戻ることを決意。退職して2002年4月に旧筒賀村役場に転職した。地域に触れ、「棚田の美しい風景と、標高500bで採れる高原野菜や米のおいしさをより多くの人に知ってもらいたい。春と秋の年2回、井仁棚田祭りのときだけ開かれていた青空市を毎週開催に」と呼びかけ、同年6月から開催している。

12戸の農家の協力で開いた初市には60人以上が訪れ、上々のスタート。青空市は当初、展望台近くにテントを張り、机を並べて開催していた。2年前に行政の支援で、バリアフリーの建物が完成。そこに「あづまや(四阿屋)」の看板を揚げ、来訪者の感想を記す記帳ノートも設置した。「このノートに記入されていることが参考になり、励みになります」と話す小笠原さん。常に20〜30人が訪れ、「みずみずしくってクセのない野菜は、素朴でとってもおいしい」と好評だ。
現在は6戸の農家が毎日曜日に当番性で市に立つ。参加農家の一人、佐々木よしこさん(77)は、「若い人からお年寄りまで心遣いを忘れない小笠原さんは、責任感が強くて頼りになります」と評価する。

人口約70人の井仁地区の平均年齢は63歳。高齢化した地域で、いかに参加農家を増やしていくか課題はあるが、「昔ながらの棚田の魅力を感じ、自然の中で育った農作物を多くの人に味わってもらい、地域振興につなげたい」と小笠原さんは意欲満々だ。(岩崎)

青空市の掲示板には地元の方が描いた農具≠題材にした絵を展示。左は掲示板の絵を指差す小笠原文麿さん

春はキャベツ・ネギ・フキ・小松菜・水菜・タマネギ、秋にはジャガイモ・サトイモ・大根など、多くは百円で販売。米は2`で1千円。炭・手作り人形なども販売される。