新年特集

頼りになるNOSAIになれ
−未曾有の台風災害から学ぶべきこと−

かつて経験したことのない相次ぐ台風の襲来に、NOSAI西部管内はもとより、広島県、さらには全国にその被害は及び、各地で大きなつめ跡を残した昨年。水稲が、園芸施設が、建物がとあらゆる"農家財産"に被害が及んだ中で、NOSAI制度がその機能を発揮した。しかし、被害が甚大だったとは言え、結果的に共済金の支払いが迅速に行えなかったなど、さまざまな課題もある。今年の新春座談会では、組合管内各地域のNOSAI部長にお集まりいただき、台風災害の実態、それに対するNOSAIの対応から、これからのNOSAIについて語っていただきます。

ほんとうにひどい目にあった


組合長:平素からNOSAI事業にご理解・ご協力をいただいていることに深く感謝申し上げます。特に地域のNOSAI部長のみなさまにはお世話になっており、本日はお忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。昨年は相次ぐ台風の襲来で、大きな被害がありました。組合としては共済金のお支払いに向け、職員は寝食を忘れ、勤めています。本日は新春放談としてきたんのない意見をお聞かせください。

司会:昨年、管内では4つの台風の直撃を受けました。その共済金は10月末時点で約4億3千万という状況です。各地域での状況や、組合員さんから聞かれたことなど、台風被害の実態をお聞かせいただけませんか。

山田:本所地域NOSAI部長の山田です。ほんと、昨年は大変だった。稲も夏まではよく出来て、嬉しいような悲しいような気持ちでしたが、台風で倒れて往生しました。刈ろうか思うと雨が降る。田はやおうて、とうとう稲刈りが10月になった。何度も評価に来てもらって…。建物もやられて、とにかくひどい目にあいました。

垰田:山県東部地域の垰田です。水稲は本当に7月まではいい出来でした。8月に台風やら雨やらで稲は倒れ、水もたまって芽も出た。品質が悪くてコメの供出ができなかったと言う人もある。クマが出たという話が多かったが、出ざるを得んほど、ひどかったいうことじゃないのかね。今年はいい年になってほしい。

谷本:廿日市地域の谷本です。私は水稲損害評価員もしているが、いつもなら2回ぐらいなのに昨年は6〜7回も評価に出た。先ほどからあるように、出来がいいと思ったところに台風が来た。こけて、芽が出て、1反2セ起こしたが、くず米が普段の4倍はありました。廿日市管内では、刈り取りできない田んぼが、私が見た限り5〜6ヵ所はあったと思いますよ。イノシシもよう出とったし。共済委員も30年ばかりになるが、私の集落では火災が1度もないんですよ。共済をもらわんのがいいこと。厄除けになってます。

組合長:台風の被害はありませんでしたか。

谷本:それほどの被害はないですよ。瓦が数枚傷んだくらい。

櫻井:安芸高田市地域の櫻井です。台風の状況は先のみなさんと同じですよ。私も水稲評価をしていますが、本当にひどかった。安芸高田は米作地帯で、8月までは作況は100を上回ると思ったし、そうなれば価格が下がると心配しました。ところがその後"団体"で台風が来た。16号で下地、18号でぺしゃんこ。湿潤で機械が入るまでと待ってたら芽が出て、23号で決定的に。普段の倒伏なら棒で起こせるが、このたびは芽が1尺くらいのもありレーキで起こした。品質はもう想像どおり。被害程度は品種にもよったんじゃないですかね。アキロマンは被害が少なかったと思いますが、コシヒカリや新千本はいけんかった。
建物は12〜13年前に台風19号がありましたが、この頃から「総合共済」の加入推進をするようになり、これを勧められた委員さんのところでは、共済金の支払いで感謝されたということを聞きました。備えあれば憂いない…建物も安心できるものに加入しとかんといけんですよ。
佐々木:山県西部地域の佐々木です。うちらの地域は四方が山に囲まれているところですが、倒伏しました。コシヒカリは発芽しにくいのに発芽、新千本は立っているのに発芽して、倒れたものは半分は発芽。アキロマンは未熟粒が多くて収量はあがらない。「被害を見てくれ」と言われましたが、3割以上の被害でないと。平年が4石出来でも基準が3石じゃ対象にならんのよと話したところもあります。
建物では、山崩れの多いところでもあり、総合共済に加入する方もありますが、推進しても高齢者が多く、掛金を安くしてくれとか、額を小さくしてくれとか。


まだまだ足りないNOSAI制度の理解


司会:お話のように昨年は台風・長雨で発芽し、機械での刈り取りも困難。どうにか機械で刈っても、目詰まりして溜めるどころか、飛ばしてしまう状況だったようです。

組合長:ある人が、被害を出さなくてもと思っていたが、出荷してみると品質が悪く、収量もなかったと。

中迫:損害評価をしていて、はで架けしてあるものも、よくなかったです。
平成5年の大冷害に次ぐ被害で、倒伏した稲はほとんどが発芽。NOSAI制度は"収量"を補償するものなので、今回のように品質の低下による補償は対応できないのが実情です。

谷本:「倒れたら被害だ」と言って届けを出す方もあるし、難しいですよね。

山田:一部をはでに架けたものの、残りは刈ろうにも刈れなくてということもありますよね。

中迫:同じような被害なら、一方は手刈りをされ、一方は機械が入らないから刈らないという場合でも、当然評価の結果は同じ。そのあたりをどう理解いただくか。

佐々木:私のところのように小規模農家が多く、業者に刈り取りを頼むしかないところでは、日に日に被害がひどくなっても、来てもらうまでやりようがないんですよね。

中迫:20f余り水稲作付をしている農家を知っていますが、昨年は1千万円は収入が少ないと話していました。

櫻井:共済金の支払いに対して、誤った考えを持った方がおられる。水稲の被害がひどいのに無事戻し金のこととかで、被害届けをせずにいた方があったが、こんな時こそ共済金をもらうべきと説得をしました。あとで、「言ってもらってよかった」と言われていました。
 このたびの水稲共済金支払額がどう影響するかですね。

谷本:掛金からすると、決して悪くない補償なんですけどね。どのくらいの被害なら共済金が出るのかということが理解されていないですよね。

司会:今年度から大幅なNOSAI制度改正が行われ、これまでの一筆方式7割補償のほかに半相殺方式8割補償の制度を農家の方が選択できるようになっています。

組合長:制度そのものを、常に農家の方にわかりやすく、ちゃんとお伝えすると言うこと、しなければならないといくことですね。


農家の要望を制度に取り入れて


司会:この台風災害では、水稲・園芸・建物など多くの被害が重なり、損害評価にすぐ駆けつけられない事態もありました。

組合長:このあたりの対応などで何かお聞きであれば、遠慮なくお聞かせいただきたい。

櫻井:高田の職員さんは本当に丁寧で、迅速に行動してくれたですよ。私は100点…いや200点、それ以上をつけたいです。

山田:職員さんは大変だったと思いますよ。本当に忙しそうで、「評価に来てくれ」と言うのが申しわけないくらいでした。私も出来ることをしとこうと、被害写真を撮ったりしました。職員にはようきてもろうたと思うし、助かりました。

司会:NOSAI制度への要望など、率直にお聞かせいただけませんか。

山田:農家としてみれば、被害があったら、共済金が欲しいんです。さっきもあったように、普段4石つくる人の基準収穫量が低いことがネックになっていますよね。建物にしても同じで、十分な補償が受けられるような加入を勧めるようにすればいいのでは。

中迫:現在、基準収穫量は190〜660sまでほ場ごとに決まっていて、これは制度発足時に農家申告に基づきで定められたものです。現在では農家自身で変更できないのが実情です。

山田:農家の要望として上げられませんか。

中迫:組合としては検証が必要です。ほ場整備が進むにつれて、格差はかなり是正されてはいるのですが。

司会:建物共済についての要望はいかがですか。

谷本:万一のときの備えがNOSAIなんですよ。私のところでは建物共済の掛金を年金で掛ける人も多い。

中迫:建物推進時に、詳しい説明がないと言われることがあります。パンフレットを見ていただければ…と言ってもなかなか。

組合長:共済委員さんにしっかりと制度をご理解いただいて、組合が支え、推進をしていただくようにしていかないといけない。

櫻井:そう、まずは共済委員さんにしっかり理解いただくことですね。以前の共済委員会は説明もそこそこに、飲み会中心でしたが、これではダメ。近年、制度説明を中心にした会になってから、以前は20名程度の参加だったものが50〜60名になっていますからね。被害があってはじめていろんなことに気づく。災害が増えているいま、これまでよりも関心は高い。

山田:正直、建物共済で総合を進めたいが、掛金が高い。それに、田舎は家が大きい。2千万円加入してもらっても、十分な補償にはならないでしょ。「いっぱいに加入していても、なぜ出ない」と言われるんです。

谷本:昨年のように台風が来れば、総合の加入が増えると思いますが。

櫻井:みなさんが喜ばれるのは、家具類の補償ですよ。パソコンも普及しているし、落雷の補償をと、推進をしています。

司会:例年、建物事故のほとんどが落雷によるもので、家族構成にあった加入であれば、十分な補償をさせていただけます。

佐々木:私の方では、長期の建物共済から、短期に切り換える方もあります。

櫻井:総合共済は加入率が上がれば、掛金が安くなるのではないですか。掛金が下がれば加入は増えるはず。家財の加入が増えているのは、掛金が安いから。総合共済は掛金を下げる努力をしてもらえませんか。

中迫:そういう点で、建物には総合共済、家財には火災共済をお勧めしているのですが。

谷本:被害が多くなると、支払いに支障が出るのではないんですか。総合に入っても支払いが多くなって、支払いができないとか。被害に遭うと掛金どころの金額ではすまないし、そこは大丈夫ですか。

組合長:それは安心いただいてよろしいです。NOSAIは農家のみなさんのためにある制度ですから。


もしものときの安心をNOSAIが担え


櫻井:私の地域では、ほとんどの方がNOSAIに加入されている。安心して、万一のときの対応がいい。地震の時でしたか、その翌日、休日に対応された。さすがNOSAIと。本当に信頼度が高いんですよ。

山田:農業は自然相手の仕事。万一のとき安心できるところをNOSAIが担うべき。災害のとき、農家が言って行けるところはNOSAIしかないでしょ。何らかの方法で、もっと農家が安心できるものになればいい。

櫻井:農家が喜んでいるものに、いつだったか、イノシシのマニュアルを配られましたよね。実際に役に立っています。シカの被害もあるのですが、500円であっせんされるノリ網も安くていい。これからも農家にとって、役立つものを期待しています。

垰田:建物共済について、台風で屋根の棟に被害をうけたが、棟を針金でとめるといった損害防止対策を組合員に知らせるなども必要では。

佐々木:確かに建物共済推進について、説明不足を感じることがある。推進時に同行するなど、忙しいと思うが、信頼に応えてもらいたい。

組合長:櫻井さんから「農家の方が喜んでいる」という声をきかせていただき、"信頼のきずな"ができているなととても嬉しく思いました。しかし、少子高齢化が進む中で、さらにきずなを強くしなければならない。そのために職員がいい対応、速やかな対応で、みなさんから期待されるNOSAIになるよう、取り組んで参ります。本日お聞かせいただいた要望については、さまざまな形で組合として要望をしていきます。

司会:本日は長時間、ありがとうございました。

【写真説明】
広島地域NOSAI部長
 山田義春さん

山県東部地域NOSAI部長
 垰田武夫さん

NOSAI西部 
 福本正彦組合長

山県西部地域NOSAI部長
 佐々木 実さん

廿日市地域NOSAI部長
 谷本博人さん

NOSAI西部第一事業課
 中迫一寛課長

安芸高田地域NOSAI部長
 櫻井 昌さん

NOSAI西部総務課
 瀧本俊崇課長(司会)