農業支援特集
水稲病害虫防除のポイント
コメを取り巻く環境が刻々と変化する中で、やはり実りの秋は笑顔で迎えたいもの。そこで、収穫まで気になる病害虫の防除のポイントを芸北地域事務所農林局地域営農課に伺いました。
◎害虫
○イネミズゾウムシ
田植え時の箱施用剤使用で、ほぼ対処できる害虫です。
・原産国はアメリカで,昭和51年に愛知県で発見された。雌のみで増殖する。
・年1回の発生。畦畔,土手,山林などの枯草や落葉の下で越冬する。
・成虫は田植された水田に飛び込み,葉脈に沿って幅1mm程度の細長い食痕をつける。
・食害は畦畔沿いから始まる。幼虫は根を食害し,数が多いと分けつを阻害する。
・早植えのほ場。周囲に山林があるほ場などで発生が多い。
・要防除密度は株当たり成虫1頭以上。
○イネドロオイムシ(イネクビホソハムシ)
イネミズゾウムシ同様に箱施用剤使用で、ほぼ対処できると思われます。
・年1回の発生。成虫が草むらや山すその枯葉などにもぐって越冬する。
・幼虫は虫糞を背負っているのが特徴的で,葉先のほうから葉脈に沿って白く食害する。
・早植えのほ場。山よりのほ場。葉色の濃いイネに発生しやすい。
・特に5月下旬から6月に多雨で湿度の高い日が続くと長期に多発生する。
・要防除密度は株当たり幼虫12頭以上。
○ニカメイチュウ(ニカメイガ)
箱施用剤も成分によっては防除効果はありません。
・年2回の発生。特に第2世代は穂ばらみ期から出穂期に被害をだし,白穂となる。
・防除適期は,第1世代は心枯茎の出始め。第2世代は発蛾最盛期の1週間後。
・幼虫は稲わらや刈り株内で越冬する。暖冬の年は多い傾向。葉色の濃いイネに集まりやすい。
・近年では県南部の一部地域で発生がみられる。
○セジロウンカ(夏ウンカ)
・6〜7月の梅雨前線で飛来し,7〜8月の盛夏期に多発生するので夏ウンカと呼ばれる。
・増殖率はトビイロウンカより低いが,多発生すると下葉の枯れ上がりやスス病を併発する。
・イネが出穂する頃には長翅型成虫になり,水田外に移動する。
・要防除密度は株当たり幼虫10頭以上。多発年の防除適期は県予察情報に注意する。
○トビイロウンカ(秋ウンカ)
大発生すればいわゆる"つぼ枯れ"ほ引き起こすので、注意が必要です。
・6〜7月の梅雨前線で飛来し,9〜10月に被害が目立つようになるので秋ウンカと呼ばれる。
・増殖率は1000〜1500倍と高いので,坪状に枯れ上がり,被害が大きい。
・要防除密度は株当たり幼虫5頭以上。多発年の防除適期は県予察情報に注意する。
○カメムシ
近年、多発傾向にあるカメムシですが、状況によっては防除が必要になることも考えられます。
・穂の出る2週間くらい前にけい畔の草刈をすると、カメムシの水田侵入を防止する効果が期待できます。
○コブノメイガ(ハマキムシ)
・年3回程度発生する。ウンカと同じように海を渡ってくると思われる。
・第2世代幼虫は7月末から8月はじめ。第3世代は9月上旬から中旬に被害が発生。
・多雨で軟弱になったほ場や肥料が遅くまで効いたほ場に発生しやすい。
・葉が白くなって派手にみえるが,被害葉率10%で減収率は2%。
・防除適期は発蛾最盛期〜7日後。
◎病害
○葉いもち
基本的には、早期発見・早期防除で徹底的に防除しておくことがポイントです。
・葉いもちに弱い品種:あきたこまち,ひとめぼれ,コシヒカリ,あきろまんなど
・時期は6月の梅雨入り後,初発は6月下旬頃から。
・低温,日照不足で発生しやすい。発生適温25℃前後。30℃以上ではイネの抵抗力が増す。
・雨が多いと菌の感染や増殖を助長する。チッソが多いなど葉色の濃いイネで発生しやすい。
・薬剤で予防するとともに,補植用苗は早めに処分する。ケイ酸質肥料などで茎葉を固くする。
・ゴマハガレ病,赤枯れ症と間違うことがある。
○穂いもち(穂首いもち,枝梗いもち,籾いもち)
・葉いもちが発生したイネでは,穂いもちになりやすい。
・穂いもちは発生してからの防除は手遅れで,穂ばらみ期,穂ぞろい期の防除が重要。
○紋枯病
常習地性があるほ場では防除が必要です。
・高温,多湿で発生しやすい。侵入適温30〜32℃,株内湿度は高いほど発生しやすい。
・時期は幼穂形成期からで,穂ばらみ期から出穂期にかけて急激に進展する。
・株が多めに張っているイネ,葉色の濃いイネ,昨年発生したほ場などで発生しやすい。
・要防除水準:穂ばらみ期の発病株率が早生品種10%以上,中生品種20%以上。
◎生育管理
中干や溝きりで、イネの根が深く張るようにすることで、倒伏防止や過剰分けつの抑制をしたり、穂肥えを色を見ながら施用することで、茎の太い、受光体制のよいイネ作りをめざしましょう。今年の秋、笑顔で収穫をむかえるために。